このことに頭を悩ましているマンション住人は多くいる。マンション住人の将来の負担を少なくする意味で、マンション建築の際に一平方メートルほどの正方形の空間を作り、その中に将来メンテナふたンスが必要な配管や配線を入れて、ワンタッチで空間の蓋が開くようにしなければいけないという建築基準を早急に考えるべきである。そのような基準を作ると、マンションの配管配線の修繕にかかるコストは三分の一になる。デベロッパーの長谷工はいち早くそのことに気がつき取り入れている。長谷工のマンションに住んでいる人は、修繕にお金がかからないと大喜びである。日本では、マンションを供給するデベロッパーも、マンションを建築するゼネコンも、そうしてその企業を監督する政府も全くマンションを知らない。マンション住人が立ち上がると、バブル時の景気が半世紀続く。マンションは何をもってマンションというのか。平成二年二月四日の衆議院予算委員会で、私の知人の衆議院議員が建設大臣に質問した。「我が日本国のマンションの定義を述べていただきたい」。建設大臣は立ち上がらない。すると奥の方から住宅局長が出てきて、「お答えします。建設省は賃貸マンションと分譲マンションを調査の対象としております。以上」と言って下がった。衆議院予算委員会室には野次の渦が起きた。野次はだんだん大きくなり、「何も質問に答えていない」「大臣が答えなくてはだめだ」の声に押されて、やっと大臣が立ち上がり「お答えします。私は四国の山奥育ちですから、マンションとは豪華というイメージしかございません」と言った。会場には笑いの渦が起きた。笑いごとではないのである。マンションの定義がないということは、総務省の統計局はマンションの調査ができず、マンションを対象にした統計資料が何もないということになる。